がん疾患センターの特色

南河内医療圏のような高齢化がますます進む地域において、がん治療は、いまや総合病院が役割を果たす時代になりました。高齢化に伴って、がん以外の病気(糖尿病や心疾患、脳血管障害、腎臓機能障害など)に罹っているがん患者さんが増えているからです。実際、がん以外の病気の検査がきっかけとなり、がんが見つかることも増えています。


がんの治療は、この数十年で飛躍的に進歩しましたが、それに応じて、治療の選択肢が増え、その組み合わせなどが非常に複雑になりました。高齢者にとって、治療の選択肢が増えることは嬉しいことですが、個々の治療内容を理解することは非常に難しく、大阪南医療センターのように、身近な病院(日頃から通院している病院)で治療の説明を受けるほうが心身ならびに経済的負担も少ないと思います。


一般的に、中心部(都会)の、いわゆる「がん専門施設」では、治療に伴うリスクの低いがんの患者さんの治療が主であり、「他の病気は近所の医療機関で診てもらって下さい」と、比較的割り切った(ドライな)治療を行っていたと思います。しかし、「がんと関係が薄い」と言われていた総合内科や循環器内科などの診療所やクリニックに通院している患者さんのがん診療の機会が増えています。つまり、がんだけを診るがん専門施設だけでは対応が難しい時代になるという意見もあります。


大阪南医療センターは総合病院として、がん治療も、がん以外の治療も、それぞれに経験豊富な専門医が多数在籍しています。「がん治療は、いまや総合病院の時代」に対応できる病院です。また、がん治療においては、大きな病院の方が治療成績の高いことも知られています。たまにがんを治療する病院よりも、多くのがん患者さんを治療している病院の方が様々な知識や経験を積み重ねているからでしょう。


大阪南医療センターには、既に、質の高いがん治療に必要な人材も設備も医療機器もそろっていて、そして何より「患者さんとご家族への思い」にあふれています。


では、「大阪南医療センターのがん疾患センター」の特長は何でしょう?


「がん疾患センター」という建物が存在している訳ではなく、質の高いがん診療を目指すための総合センターです。

現代のがん治療はとにかく複雑で、数多くの医師が連携します。実はこれが大変なのです。患者さん一人ひとりに対して、関係医師が集合して相談するのが理想ですが、それぞれの診察や手術などが重なって十分な時間が取れていないのが現状です。そこで、大阪南医療センターでは、内科系、外科系の各診療科を中心として、電子カルテを活用して、速やかに患者さんの情報を共有しています。この『多方向的診療』により、手術が良いのか、薬物療法と組み合わせるのか、放射線治療をいつ使うのか、ゲノム治療が向いているのかなど、初診時から複数の医師による検討が始まります。これは、治療開始までが迅速なうえ、それぞれの専門分野の医師が携わるため、より安全で高度な治療を提供できると考えています


また、がんの治療方法には、手術や放射線治療、化学療法といった様々な治療法がありますが、どのような治療を受ける場合でも、「患者様とご家族が納得した治療を受けること」がとても大切です。

大阪南医療センターでは、患者様と医療スタッフとの信頼関係をもっとも大切にして診療を行っています。最適な治療方法を実施するために、経験と知識の豊富な医師、看護師、薬剤師、放射線技師、検査技師などその他多くの職種の医療スタッフがチームとなり、患者様一人ひとりに見合った治療が提供できるよう、地域と連携しながら診療を行っています。私たちは、患者様の立場に立って、信頼と安全に心がけた最良のがん医療を理念に掲げて日々努力しています。


「大阪南医療センター・がん疾患センター」は総合病院の強みを生かし、「がん専門のがんセンター」に負けない、診断・治療・緩和ケアを含めたがん治療を行います。「地域に密着した多方向的ながん診療」は、その象徴と言えます。


今後、「多方向的ながん診療」以外にも様々な仕組みを充実させ、「がん疾患センター」の機能向上を目指してまいります。

がん疾患センター部長 中森幹人

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