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2018年5月19日開催 第19回 がん診療アップデート 開催レポート 緩和医療について

岩切薬剤師の講演

「緩和医療で使う薬ってどんなもの?」 大阪南医療センター 薬剤師 岩切 悦子
緩和医療で使う薬というと皆様はどのような薬を想像されますか?
いろいろ痛み止めとかがありますが、医療用麻薬というのを思い浮かべた方はおられるでしょうか?
ご存じない方もたくさんおられると思いますが、今の痛みの治療では麻薬を使った痛みの治療をされる方もたくさんおられます。
大阪南医療センター 薬剤師 岩切 悦子
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では麻薬というと皆様どのような印象をお持ちですか?麻薬を使う患者さんのなかでこのような方がおられましたので紹介します。

「先生に麻薬を始めましょうと言われました。これってもう助からないしもうすぐ死ぬってことでしょうか?」そういう相談を受けました。その方の麻薬のイメージは、「麻薬を使うってことはもう治療方法はなくこの麻薬を使うことぐらいしかない。ということは私はもう先が短いのではないか。」というイメージを持ってました。
皆様ももしかして麻薬と言われるとこのようなイメージを持たれてるのかも分かりません。でも、そういうことではございません。

昔はがんの治療ができなくなったら緩和ケアに切り替わるというイメージがあったと思いますが、現在ではがんと診断された時から麻薬の治療を開始されるものが多くあります。
もちろんがんの治療の時にも必要になってくるものです。ですので先程患者さんが言われた「もう先が短いのではないか。もう私は終わりではないのか。」ということではありません。
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でもこの患者さんにはまだまだ悩みがありました。「麻薬って中毒(依存)になったり耐性ができて効かなくなったりするんでしょう。使いたくないなあ。」と。
テレビなどでは麻薬を使った方が中毒になったり依存症状になったり捕まったりというのが連日放送されています。皆様もご覧になった方がおられるのではないでしょうか?もちろんそういう作用も麻薬にはありますが医療用麻薬のように治療でしっかり考えて使えば、中毒になったり依存症状にはなりません。医療用麻薬は飲み方が決まっています。

患者さんにはいろんな痛みがあります。何もしなくてもずっと痛いという痛みにはゆっくり長く効くタイプのお薬を1日1回か2回毎日飲んでもらいずっと痛いという痛みを抑えていきます。その他、通常時は痛くないが食事の時やトイレに立った時など体を動かした時にズキっと筋肉痛のように痛い場合には痛くなった時にすぐに飲んで頂く痛み止めの麻薬を使って頂くことが多いです。あとご飯を食べる時に痛くなると分かっている患者さんにはご飯を食べる前にお薬を飲んでいただき痛みなくご飯を食べられるようなタイプのお薬が出されたりします。どちらかのお薬を飲まれてる方も居れば両方のお薬を組み合わせて飲まれて痛みを調節している方も居ます。

先生や薬剤師ともしっかり話をして痛みの程度を知ることでお薬を調節していますので、依存になったり中毒になったりということはありません。
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でもまだまだ患者さんには悩みがあります。「中毒はなくても他の副作用はあるんでしょ?どんな副作用がありますか?」ということです。
お薬にはすべてと言っていいほど副作用があります。麻薬もお薬ですので副作用はあります。
医療用麻薬というお薬には大きく3つの副作用があります。「吐き気」「眠気」「便秘」この3つが大きく上げられます。

「吐き気」「眠気」の2つは耐性と行って薬に体が慣れて次第になくなっていきます。大体二週間ほどでなくなっていくと言われています。この2週間の間も我慢しろと言うことではなく抑えるようにアプローチしていきます。「便秘」に関しては残念ながら慣れは生じません。麻薬は飲んでいる限り「便秘」は隣り合わせにあります。でも便秘が起きると分かっているので便秘薬などを飲んで調整しています。「眠気」が出ますので車の運転は絶対にしてはいけません。

あとこれはおまけなのですが、患者さんで「麻薬を飲んでるから海外へ持ち込めないから海外旅行に行きたいけど痛みのことがあるから行けないなあ。」と言う患者さんがおられますが、手続きは必要ですが麻薬は海外に持ち込むことが可能です。なので痛みを気にせず海外旅行を楽しむことが可能です。
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このグラフは現在の麻薬の使用状況です。一番右が日本のグラフです。他の国に比べて日本は圧倒的に少ないです。これは患者さんや医療従事者にもあると思いますが、麻薬ってこわいなあ、という認識が根強くあるからだと思います。こういう発表で少しでも麻薬に対するイメージが変われば嬉しく思います。

まとめです。

〇麻薬を始めたからといって死期が迫ってるというわけではありません。治療でどんどん良くなっていくこともあります。
〇適切な量を守っていれば中毒や耐性は起きにくいです。

お薬のことで分からないことがありましたら、医師や薬剤師にいつでも相談してください。
今回の発表で少しでも麻薬に対するイメージが変われば嬉しく思います。
有り難うございました。

>> 大阪南医療センター 薬剤部

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