私は国立がんセンターに32年間勤めておりました。最初は泌尿器科医師として、後半10年間は築地にある病院で中央病院長として勤めました。最後に総長といって二つの病院と研究所の全体の責任者を5年やりました。そういう組織の管理者という立場で15年も働いていますと、何か式典があるとご挨拶を申し上げるとかパーティーがあると乾杯の音頭を申し上げるとかそういう機会が多く、そういうものを繰り返していると私の専門は挨拶と乾杯だったもんですから、たまにまじめに膀胱がんや前立腺がんの話をすると「垣添先生よくご存じですね〜」と言われるといった大変困ったことになってるのですが、そういう馬鹿なことを言ってないでこれから少し話します。
「人はがんとどう向き合うか?」ということで3つの話をさせて頂きます。
〇がんと向き合う人は多様であるということ
〇妻の場合、私の場合
〇ヒトは10の27乗,10のマイナス35乗メートルの世界に漂う儚い存在