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2019年5月25日開催 第20回 がん診療アップデート 開催レポート 緩和医療について

杉本医師の講演

「腎細胞がん治療のアレコレ」 大阪南医療センター 泌尿器科医長 杉本 公一
まずはじめに泌尿器科というとどういうイメージかということですが、腎臓でおしっこを作る、膀胱で尿を貯める、ということを含めた中で診療を行なっています。今日は腎がんの話になります。

腎がんの統計が出ていまして、男性・女性どちらが多いですかといえば男性が多いです。50〜60歳にかけてだんだん患者さんが増えていく、罹患率が上がって行くんだということがわかります。
腎臓がんになった場合どんな症状が出てくるか。熱が出てきたり、血尿が出てきたり、体重が減ったり、血圧が上がったりというような症状が出てきます。
健康診断で超音波検査で見つかることが大半です。健康診断で腎臓がんが指摘されて外来に受診されるというようなイメージになっています。全体の中で転移のある腎がんというのも10%ぐらいありますが、大体は早期に見つかり良い治療ができ生存率もいいというのが現状ではないでしょうか。
「腎細胞がん治療のアレコレ」
大阪南医療センター 泌尿器科医長 杉本 公一
腎臓がんの種類はいろいろありますが、大体は淡明細胞型腎細胞がんという状況が言われております。
ステージ1期、2期、3期、4期というのもよく聞かれると思いますが、健康診断の超音波で見つかる1期の腎臓がんが多いです。1期の腎臓がんであれば腎臓を温存することができる。部分切除をすることによって透析することもなく長期生存することができます。

診断の流れは、採血などをして全身状態が良いか悪いのかをみます。次にエコーで画像検査します。エコーで腎臓がんを指摘されて受診される方はCT検査をすることが多いです。CT検査で腎臓がんがあるかないのかが診断できます。腎機能の悪い患者さんにおいてはMRIで診断し手術に移るというかたちになります。腎臓がんが疑わしいというところでは生検をすることもあります。腎臓に針を刺して組織を採り、がんがあるかないかを調べていきます。腫瘍の大きさが3センチを超えてくるとエコー、CT、MRIで、腎臓がんということが診断可能なので手術に移ります。ステージ1期、2期、3期、4期というステージに合わせた治療をおこなっていきます。

近年は超音波検査で腎臓がんが疑われるとCT検査・MRI検査で悪性かどうかを判断して、転移があるかどうかというところを骨シンチグラフィで骨に転移しているかどうかを調べて最終的に治療をおこなう。手術や薬物療法をおこなっていきます。
スライドの写真
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次に日常生活での注意点です。腎機能云々カンヌンというところになりますが、禁煙する、適度な運動をするのは大事です。肥満も良くないですし高血圧も良くないです。塩分を控えめにしましょう、などを心がけていただければ、透析をせずに長生きができることにつながります。

治療方針についてです。がんの進行度ステージ1期、2期、3期、4期ということを踏まえて、手術をするかしないか、完全に治したいかどうかといった患者さんの希望、そして全身の状態です。手術をするのであれば年齢を考慮したり、麻酔に耐えられるかどうかで治療方針を決めていきます。1期、2期であれば手術をおこないます。腎臓を全て取るか部分切除にするかも決めます。3期であれば腎臓を全部取ることが多いです。転移があるかないかという4期であれば、腎臓を取った後薬物療法をおこなったり、また手術をしない場合であれば薬物療法だけをおこなっていく、というふうに思ってください。

先ほど堀内先生から腹腔鏡下手術があるとお話しさせていただきましたが、近年はロボット支援手術というのが主流になってきています。泌尿器科においては腎臓がん・前立腺がんというところがメインとなっています。2018年4月以降は、他のがんにも手術適用の範囲が広まっていき、より侵襲の少ないロボット支援手術が行われているのが現状です。

再発した場合は、薬物療法をするか手術をするかになります。先ほど工藤先生がおっしゃられていましたが、近年は様々な薬剤が開発され使用可能となってきて、泌尿器科では腎細胞がんでは、より多彩な手術・薬物療法の併用ができるといった状況になってきております。
スライドの写真
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皆さんオプジーボという薬剤をよくお聞きになると思うのですが、今のがん免疫療法剤は治療効果があった場合はずっと生存し続けられますが、昔の分子標的剤というのは治療効果はあってもだんだんに効かなくなっていくと言われております。

ひとつの症例をあげます。
60歳男性で人間ドックの超音波検査で腎臓に腫瘍が見つかり紹介を受けて来られました。採血や尿検査では異常はなかった。腎臓にできた腫瘍の大きさが3センチぐらい。という状況では、我々泌尿器科は腎機能に異常がなければやはりCT検査で詳細を調べます。CT検査の結果、3センチ大の腫瘍が見つかりました。より腎臓がんを強く疑いますが、リンパ節や肺等への遠隔転移への転移がなかった。治療方針としてはまず入院。次にクリティカルパス。クリティカルパスとは全員の患者さんに同じ治療方針でより短期間でより良い医療をしていこう、というものです。
スライドの写真
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当院のクリティカルパスでは入院した患者さんがスケジュールを立てやすいように入院・治療計画をお伝えしています。次に手術の施工。4センチ以下の腫瘍であれば腎臓を温存するというのが一般的です。温存すれば透析にもなりにくく治療効果も上がってくる、ということから腎臓の部分切除を行います。術後は翌日から水分を摂っていただけ歩行いただくことも可能です。そして術後二日目から食事も摂っていただき、1週間弱で退院。といった治療計画で当院はおこなっています。

外科の方でも同じように治療計画を立てているのが大阪南医療センターの現状です。有難うございました。

>> 大阪南医療センター 泌尿器科

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