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2017年5月27日開催 第18回 がん診療アップデート 開催レポート がんの予防・早期発見

前田 裕弘 先生の講演

「がん総合ドック」 大阪南医療センター がん疾患センター部長 前田 裕弘
人間ドックといいますが、ドックというのは犬ではなく船を修復するときに格納する格納庫を由来としたドックという言葉です。

がんの発生は先程から皆様がお話しになられていますが軒並み右肩上がりで、他の疾患が比較的下がっているにもかかわらず、がんはずっと上がっています。75歳以上の2人に1人はがんになって、3人に1人はがんで亡くなるという統計学的なこともございます。
大阪南医療センター がん疾患センター部長 前田 裕弘
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1915年に山極勝三郎(やまぎわかつさぶろう)という先生がウサギの耳に毎日コールタールをつけていくと何日かするとがんが発生するということを発表しました。もうひとつは2014年に印刷工場の従業員が極めて高い頻度で胆管がんを発生するということが発表され、重大な社会現象となったわけです。色々検査するとジクロロプロパンという印刷に使う物質が胆管がんの原因になるということが分かり、そのジクロロプロパンが体内へ入るとグルタチオンと結合して最終的には胆管上皮細胞をがん化させていくという機序で発生することがわかりました。このことからも分かるように、がんの60%ほどは環境因子で起こるものと言われています。タバコが30%、喫煙者には耳の痛い話だと思います。食事とか肥満・運度不足も関わってきます。がんの発生部位は男性で胃と肺が多く女性はまんべんなくといった感じです。原因を追及していくと、やはりタバコが3割であとは感染(B型肝炎、C型肝炎など)であります。やはりタバコがかなり多いと思います。

がんになる過程は、まず細胞の遺伝子に傷がつき変異原性ということがおこり、それが発がんに繋がるわけです。大腸がんですと、正常な大腸の上皮が遺伝子の変異によってポリープになって大腸がんになります。その間にはこのような変異があります。ドライバー遺伝子変異というものです。がんになるメジャーな原因と言われています。正常細胞ですと50回程分裂すると細胞は死んでしまいますが、がんの細胞は50回分裂しても死なず、どんどん増殖するということが分かっています。先程田中先生が仰ったように、浸潤というものと、違う臓器に転移する、という二つの機序でどんどん拡がっていくわけです。
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年齢とがん発生のグラフでは、大体50歳を越えると女性も男性もがんが増えてくるということで、50歳を越えましたら年1回は検査をするべきです。欧米では受診率が高いですが日本ではまだまだ低い状況です。河内長野市、富田林市・羽曳野市で見ますと、河内長野市は年々がんの発生率が増えていますので、河内長野市からがんをなくすように努めたいと思います。
当センターでは、がん総合ドックというものを5月からはじめまして、血液検査やCTやエコーなど様々な検査を実施します。値段的には安く抑えまして男性が6万円、女性が7万円ということで、我々はほとんど儲けなしで値段をつけさせて頂きました。[会場笑]
ドックの流れは、女性用ドックですと、問診→身体測定→血液検査→マンモグラフィもしくは乳腺のエコー→大腸CT→胸部CT→胃カメラ→子宮がん検診で行い、大体9時に始めたとして11時半に終わっています。採血ではほとんど腫瘍マーカーをみます。がんによって作られる物質が違いまして、陽性になるとかなりの確立でがんになっているということがわかりますが、陰性であっても必ずがんを否定できるというものではないので、他の検査を併用していきます。エコーは、乳がんの場合、若い女性の方にマンモグラフィでなかなか分からないものを乳腺エコーで写します。胆管・膵臓がんでもエコーが非常に優れたツールです。

当センターでは大腸CTというものをやってます。お尻からカメラを突っ込まれるといった屈辱的なこともなく造影剤をお尻から入れることもなく、炭酸ガスを腸管に入れることによって大腸の輪郭がくっきり反映されますし、内腔もファイバーで見ているように鮮明に解像度を上げて見ることが出来ます。
それとDWIBS(ドゥイブス)というものがあります。これは全身のがんを一目瞭然で調べることが出来るものです。MRIですのでCTとかと違ってまったく放射線被爆がないのです。CTも非常に優れたものですが放射線被曝があるということで頻繁に行うことは出来ず三ヶ月に1回が限度になります。PETとDWIBSの比較ですが、PETで光ったところがDWIBSでも同じ様に写ります。DWIBSは全く被爆がないので、がん総合ドックには必ず入れるというシステムをとっています。がん検診で異常がなければ様子を見るということになりますが、異常があれば精密検査をして治療していくということになります。
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がんの原因についてです。先程も言いましたタバコ。ブリングマン指数というものがありまして、1日のタバコの本数×年数で400以上あれば肺がんに関して注意が必要、600以上であれば肺がんの危険性大で同時に肺気腫についても同じです。1日20本を30年すってる方はもうすでになってるかもわかりません。もしくは急性白血病、急性骨髄性白血病の割合が30本ぐらい吸っている方は2.2倍ぐらい高くなるということです。ですから肺がんにもなるし白血病にもなるということで、タバコを吸ってる方はぜひやめてください。それと受動喫煙してない方と受動喫煙してる方ですと1.28倍ぐらい肺がんのリスクが高くなっているのです。ご自分が吸わなくても他人にどれだけ迷惑をかけてるかということです。どういうがんになりやすいかというと、肺がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がんなどです。
タバコなどの毒物が体の中に入ったら一部は解毒されますがされない分がDNAを変成させて、最終的に細胞をがん化させるということで、すべて遺伝子の変異で起こってることなのです。

胃がんのリスクについてです。普通腎臓が悪い人は少ないわけですが健康な成人男性女性ですと、1日7グラム〜8グラム、まあ10グラム以下にしていただくといいです。添加物に関してはそれほど厳しいことはなく、基準値以下なら大丈夫です。
アルコールは1日360ccのビールを3本飲むことでリスクが20%上がると言われてますし、糖質も少なくして頂いた方が良いということです。緑茶とかコーヒーですが、がんに対してはかなりカフェインが有効だということです。あと肥満です。体重を身長の二乗で割るBMIで25%以下が正常値なのですが、25%を超えるとがんの発生率が高くなるということが分かっているので、適度な体重にしていくということも大事です。デザイナーフードピラミッドといものがあります。上に行くほどがんの予防効果が高い物になります。一番良いのはニンニクでキャベツ・カンゾウ・大豆などはとても予防効果が高いということです。皆さん明日からニンニクをたべて臭くなるかもわかりませんが。[会場笑]こういうものをできるだけ食べた方が良いということです。あとは運動です。運動は先程の体重を減らすということもありますが、健康作りのための身体活動というものを2013年に厚生労働省が出しました。息が弾み汗をかくほどの運動を毎週60分ほど行うなどを心がけるようにということです。
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がんの発生というのは遺伝子変異ですが、免疫力が低下している方はかなり起こりやすいということです。ナチュラルキラー細胞というものが大切になります。獲得免疫のT細胞が働きます。ナチュラルキラー細胞を測定することによってすでにがんに罹っているかも知れないという人もいますし、がん患者と健常人を比べるとナチュラルキラー細胞が健常人は20%ぐらいありますが、がん患者は非常に低いみたいです。ですので当医療センターでもやりますしナチュラルキラー細胞を測ってみて、低い人は一度全身の検査をした方が良いです。高い人でも下がるかも知れないということで、年に1回ぐらいはがん総合ドックを受けて頂くということが望ましいといえます。

中村獅童さんは奥さんのすすめで人間ドックを受けられ異常が見つかりましたが、早く見つかったので良い方向に進んでいるということです。
がん予防の十二箇条というものがあります。タバコ・お酒はほどほどに、バランスのとれた食生活、適度な運動、体重維持、感染予防と治療、定期的ながん検診、体の異常があればすぐ受診、そしてがんの知識をつけて頂くことが大事です。

がん総合ドックの申込み方法です。
当センターの電話番号0721-53-5761で内線3124、経営企画室まで連絡ください。
3124(さぁひつよう)と覚えてください。
ご静聴有り難うございました。

>> 大阪南医療センター がん疾患センター ホームページ

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