森川栄司先生の講演
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診療所から見た在宅医療の現状をお話しさせていただきたいと思います。
がんの在宅医療ですが、在宅医療を選択される場合に3つのパターンがあります。 1つ目は抗がん治療です。何らかの形で通院困難な方が自宅で抗がん剤治療をするという非常に稀なケースです。2つ目にがん治療中のサポート。がん治療中で栄養状態が悪いとか脱水状態になるとかという状態に対してサポートさせていただく、あるいは通院をされる時に前もって血液検査等をさせていただいて通院の負担軽減の主なお役に立つといったパターンです。3つ目は今回のテーマだと思うのですが、いわゆる終末期医療によってできるだけ家に居たい、最後まで家で過ごしたいといったパターンです。 さて、退院が決まった時に二つの選択肢があります。病院で療養を続ける、あるいは在宅で療養するです。病院を選択される方というのは、病院だと何があってもすぐに対応してくれて介護面でも安心であるという理由で選択されます。在宅での療養を選択される方というのは、できるだけ家族の側に居たいし住み慣れた自宅で暮らしたいという理由で選択されます。
ところで、在宅療養について誰に相談すればいいのかということです。やはり病院主治医・看護師・ソーシャルワーカー(MSW)・地域連携担当者にまず相談します。あとは普段診てもらっているかかりつけ医、訪問看護(介護)ステーション、ケアマネージャ(居宅介護支援事業者)等がございます。相談出来る人が決まれば、次に在宅医療に向けてどういった準備をするかということです。まずは病院主治医・ソーシャルワーカー(MSW)から情報提供がなされます。それを受ける我々側は、診療所・訪問看護(介護)ステーション・ケアマネージャ(居宅介護支援事業者)と連携し受け入れる準備をします。
そして、退院が決まってからです。直前に打ち合わせ会議というものが病院で開かれます。それは、病院主治医・看護師・ソーシャルワーカー(MSW)・往診医・訪問看護師・ケアマネージャ・薬剤師・ヘルパー、それと本人もしくは介護者が一同に集まりカンファレンスが開かれます。内容は、何に注意するのか、何が必要なのか、どういうふうなタイムスケジュールなのか、緊急時どのようにするのか、主治医との連絡方法、費用がどのぐらいかかるのか、ということを話し合います。
いよいよ在宅療養がスタートするわけです。イメージとしては「自宅が病院の病室です。ただし少しだけ廊下が長いです。」といったイメージです。もし想像していたのと違ったら、その時は遠慮なく相談してください。往診医をどう探すかということもございます。かかりつけ医に相談するのが一般的ですが、かかりつけ医がなかったり、かかりつけ医が往診出来ない場合は病院で探してもらうことになります。そこで河内長野医師会では、河内長野医師会地域医療連携室というものを設けており、病院から依頼があった場合には往診医を探します。また在宅サロンというものも設けており、関係事業者等と日頃から連携を深めスムーズな業務連携が行われる様に勉強会を重ねております。
10年間の経験から「すみなれた場所でともに明るく生きる」ためには、困ったことがあれば何でも相談していただく、在宅医療が上手く行かなかった場合はホスピスも検討してみる、悪くなる前に本人の意向を確認しておくということが重要だと言えます。皆様の不安軽減のために日々努力を重ねて行っております。
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