鳥越俊太郎先生の講演(2)このページを印刷する - 鳥越俊太郎先生の講演(2)

2012年6月9日開催 第13回 がん診療アップデート がん治療の最前線 開催レポート
 がん診療アップデート会場
 開講の挨拶
 講演:がん治療の最前線(1)
 講演:がん治療の最前線(2)
 講演:がん治療の最前線(3)
 講演:がん治療の最前線(4)
 鳥越俊太郎先生の講演(1)
 鳥越俊太郎先生の講演(2)
 閉講の挨拶

異変からがん告知まで

ここで私の大腸がんの話をします。
2005年ぐらいに下痢や便秘が続きビールがまずく感じて「何かおかしいな」と感じたのがはじめでした。私は戦場などでも生き残ってきたし「俺はついてるから弾も当たらなかったし、がんも当たらないだろう」と思っていました。しかしトイレで赤黒く染まっていることが2・3回ありましたのでこれはヤバイなと思いました。

人間ドッグを受けに行きました。検便は絶対受けて欲しいです。昔の検便は虫を調べるものでしたが、今の検便は潜血反応を見るためのものです。

鳥越俊太郎先生
私の場合は結果は++。すぐに精密検査をし、最終的には内視鏡カメラで検査をしました。
その検査の時初めて自分の腸を見ましたがピンク色で綺麗なのにびっくりしましたが、どんどん進めて行くと醜いものが映りました。
「これは良性じゃないですよね?」と先生に聞くと「そうです。がんですね。」と言われました。がんを自分で目撃したと同時に告知されたんです。

先生が今まで一番告知をして衝撃を受けておられたのはお坊さんだと言っていました。それほどがんの告知というものは衝撃の凄いものですし皆さん衝撃を受けるんですよ。昔は本人に告知をしないのが普通でしたが今は余程の末期で本人が生きる望みを失ってしまう可能性がある時以外は告知をするようになりました。


家族全員がその重みを受け止めなくてはいけない

実は検査を受けるにあたり、「自分はもしかしてがんかもしれない。やられていた場合はいろんな治療が始まるからその経緯をすべて記録に残してくれ」いう気持ちがあり、その検査を受ける前に番組のディレクターに検査当日カメラを持って病院に来てくれと言っておいたのです。その通りディレクターはカメラを持って待ってくれていました。カメラの前で「がんが見つかりました。入院して手術をします。」と告げました。

手を挙げる場面

そして家族に連絡しないといけないと思い妻の携帯に連絡しました。留守電でした。上の娘も留守電。下の娘も留守電。ウチの家族はなんということか!父親・夫ががんかどうかというこの大事な時に留守電とは!とちょっとがっかりしましたが。

家族の誰かががんになると、その家族全員がその重みを受け止めなくてはいけない。僕もその後、治療、手術、転移いろいろありましたが、家族が受け止めなくてはいけないのは間違いないのです。娘達は大きくなって家族を持ち親からも離れ互いに連絡していることもなかった。それは仕方がないことだと思いますが、私ががんになった途端に、それまで別に住んでいた妻が私と一緒に住みはじめ私の食事を作る様になり、家族は頻繁に病院に来る様になりました。

がんのおかげで元の家族が戻って来たんです。家族がお互いのことを気遣う様になりました。それは一病息災という意味もあると思います。


免疫力を高める生活をする重要性

私は肺に転移して肝臓に転移して4回手術してますが、今はこれだけ元気なんです。先程の先生のお話によると、毎日できてくる5000個のがん細胞をやっつけている免疫力が、落ちて来てしまうとがんになってしまうんですね。
ですから日頃から免疫力を高めるための生活をしておくのが大事です。私は一に食事、二に睡眠、三に運動、を心がけ言い聞かせています。

食事は低カロリーにして肉食は控えます。肉は鶏のささみぐらいです。睡眠は6~7時間の睡眠を取った方が良いと思います。どうしても眠れない人は睡眠導入剤を出してもらってください。眠れないよりはるかに健康です。そして運動ですが、私は週3回ジムにいっています。そして車や自転車ではなく足で歩くことです。私はこのようにして免疫力を高めています。


それに免疫力を高めるのに重要なのは目標を持ち前向きに明るくなるべくストレスを少なく生きることです。そして笑うということ。いつもニコニコして笑う人は怪我しても治りやすいんです。可笑しくなくても笑うと本当に可笑しくなってくるんです。
そうやって免疫力を高める生活をすること、そしてがん検診を受けることです。