講演:がん治療の最前線(4)
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次は、当大阪南医療センター がん診療連携総括部長 堀内哲也から「大腸がん治療の最前線」をテーマにご講演を行っていただきます。
今日は大腸がん治療のトピックスとして、内視鏡的治療、腹腔鏡下手術、新規抗がん剤による治療、について説明いたします。
はじめに、がんというのは塊を想像されると思いますが、がんというのはがん細胞の塊で、がん細胞とは1000分の1センチという非常に小さい物です。人間の身体では一日に5000個ほど出来ていますが、免疫細胞によってやっつけられています。ところが10000個の塊になると免疫細胞によってやっつけられないようになってきてだんだん大きくなってくるのです。CTで4?5mmのもから発見できPETでは8mmといわれています。
がんは大腸の粘膜内にある状態ではその部分だけを取れば治ります。それを内視鏡的治療といいます。今まではがんを浮かして取る治療がされていましたが、今年からは大きながんも取ることができる「はがす治療」が可能になり保険適用になりました。しかし、粘膜を越えて血管やリンパ管の中にがんが入り込んで転移していくと、腸とリンパが流れている箇所全てを取る手術療法を行わなくてはいけません。そうなると一般的には大きくお腹を開けて手術をおこなう開腹術という手術がされてきましたが、現在では穴を何カ所か開け空気とカメラと道具を入れて手術をする腹腔鏡下手術が主流になってきました。その背景には、ビデオシステム技術の向上、画像診断技術の向上、手術機械の進歩、ロボット手術の登場などの技術的な進歩があります。
当センターでは日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医が11名おり去年の内視鏡的切除は364人でした。また日本内視鏡外科学会の技術認定医が3名勤務しており、2004年より現在まで450人以上の方に腹腔鏡下大腸切除が行われ、良好な成績をおさめています。大腸がんは比較的症状がなくても早期発見のためには便潜検査などを定期的に行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
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