講演:がん治療の最前線(2)このページを印刷する - 講演:がん治療の最前線(2)

2012年6月9日開催 第13回 がん診療アップデート がん治療の最前線 開催レポート
 がん診療アップデート会場
 開講の挨拶
 講演:がん治療の最前線(1)
 講演:がん治療の最前線(2)
 講演:がん治療の最前線(3)
 講演:がん治療の最前線(4)
 鳥越俊太郎先生の講演(1)
 鳥越俊太郎先生の講演(2)
 閉講の挨拶

次に、当大阪南医療センター 統括診療部長 肱岡泰三から「肝がん治療の最前線」をテーマにご講演を行っていただきます。


「肝がん治療の最前線」 大阪南医療センター 統括診療部長 肱岡 泰三

本日は肝臓がん治療についてですが、市民の皆様にお伝えしたいことに絞ってお伝えしたいと思います。
がんで亡くなられる方の十分の一が肝臓がんによって亡くなられています。肝がん白書というものが1999年に出されました。それによると日本の肝臓がんは1975以降増加して2015年にピークを迎えると予測されていました。その90%以上がB型肝炎やC型肝炎ということからもウィルス検診は重要ですのでウィルス検診はきっちり受けて頂くようにしていただきたいです。

大阪南医療センター 統括診療部長 肱岡 泰三 スクリーン
肝臓がんが増えてますがその80%以上がC型肝炎に関連したもので肝がんの増加というものはC型肝炎による肝がんの増加によるものだと報告されています。従って肝がんになりやすい人というのは明確に絞り込むことができます。つまりウィルス肝炎の検査を受けて頂くと肝がんになりやすい可能性が極めて高い方ですので、そういう方に向けて予防・早期発見をすることで早期治療ができるのです。

インターフェロン治療の介入により肝がんの発生率を減少させられるということが分かってきました。実際インターフェロン治療がなされるようになってきたことにより最近の肝がんになる原因が如何に推移してきたかを見ると、ウィルス肝炎による肝がんの患者が10%減少しました。よって肝臓がんは2015年にピークを迎えると予測されていましたが、その予測よりも9年程早まり2005年をピークに2006年からは肝がん患者数が減少に転じています。がんの撲滅に医療が貢献できて来たということがお分かり頂けると思います。

スクリーン スクリーン
一方、ウィルス肝炎が原因の肝がん以外の肝がんが増えて来ています。その内訳を詳しく見てみると、アルコールを多く摂取することによって肝臓が悪くなり肝がんになる、糖尿病を患っている、高脂血症、脂質代謝異常があるという結果が分かりました。糖尿病を患っている方は、そうでない人に比べて肝がんになりやすいことが最近報告されました。したがって、いわゆる生活習慣病の検査で肝臓の数値にちょっとでも異常のある方を、B型肝炎やC型肝炎の患者と同じ目で見て、予防・早期発見・治療をすることがとても重要であることが最近分かってきたことです。