スタッフ紹介
診療科の特色
脳血管内科は脳血管障害に軸足を置きながら、神経救急(意識障害・頭痛・めまいなど)、神経疾患(パーキンソン病・ギランバレー症候群など)幅広い守備範囲で診療を行っています。脳卒中は急性疾患のため早期の診断と治療開始が肝心であり、脳神経外科と協力し「脳卒中センター」として24時間体制で急性期脳卒中の受け入れに取り組んでいます。特に、超急性期脳梗塞の治療として、tPA静注療法や血栓回収治療に積極的に取り組んでいます。その他の血管内治療(頸動脈ステント留置術、脳動脈瘤コイル塞栓術など)も当科で施行しております。
また、神経内科領域では、パーキンソン病の教育入院、薬物調整入院、CIDPに対する免疫グロブリン大量療法なども行っております。筋委縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)をはじめとした難病の在宅医療への導入の目的入院も行っております(詳細は神経内科ホームページをご参照ください)。
主な診療内容・取扱い疾患
脳梗塞の超急性期治療
脳梗塞は「脳血管が詰まることにより、脳組織への血流が途絶えて、酸素や栄養分が不足した脳組織が壊死する病気」です。かつ、脳組織が非常に脆弱なため、血流が途絶えてしまうと分単位で脳梗塞が拡大してきます。そのため、発症からごく早いタイミングに詰まった血栓を溶かして(取り除いて)血流を再開させることができれば、症状の改善が期待できます。
tPA静注療法
tPAは血栓を溶かす点滴の薬であり、日本では2005年に認可されて現在では標準治療として認められています。認可当初は発症から3時間以内に、現在では発症から4.5時間以内が治療開始の制限時間とされています。
血栓回収治療
中大脳動脈主管部閉塞や内頚動脈閉塞などのtPAで溶けにくい大きな血栓についても、カテーテル治療により詰まった血栓を取り除ける場合があります。特に2014年に認可されたステント型血栓回収器具が登場してから良好な再開通が得られるケースが増えてきており、現在ではガイドラインに記載される標準治療と認められています。ただし、tPA静注療法も血栓回収治療も出血などのリスクを伴う治療であり、有効性が高いと見込まれる患者様を慎重に見極めたうえで行っています。
最近では年間20件程度のtPA静注療法、ほぼ同数の血栓回収療法を行っています。
Acute Stroke Team
いずれの治療も時間との勝負になります。そのため、当院では2014年から院内でAcute Stroke Team(AST)という多職種からなるチームを結成して、治療時間の短縮を目指して取り組んでいます。その結果、来院からtPA開始時間の短縮が達成されています。
また、市民講座、救急隊との勉強会、周辺医療施設への連携など、脳梗塞の発症から来院までの時間短縮を目指した取り組みも行っています。
診療実績
疾患群 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
---|---|---|---|---|
脳梗塞・TIA・脳出血など | 218 | 213 | 253 | 241 |
髄膜炎・脳炎他 | 3 | 7 | 5 | 12 |
ギランバレー・CIDPなど | 17 | 13 | 3 | 18 |
末梢神経疾患 | 3 | 7 | 10 | 4 |
変性疾患(パーキンソン病など) | 68 | 69 | 45 | 56 |
認知症疾患 | 7 | 12 | 12 | 9 |
機能性疾患(頭痛・てんかんなど) | 31 | 27 | 37 | 38 |
自律神経疾患・脊髄・腫瘍性疾患 | 22 | 32 | 41 | 8 |
内科疾患に伴うもの(代謝性疾患) | 5 | 5 | 3 | 2 |
非神経内科疾患 | 40 | 31 | 65 | 33 |
合計 | 414 | 416 | 474 | 421 |
(入院後の転科・転棟を含む)
入院患者 | 脳血管内科 | 2017年度 | 2018度 | 2019度 | 2020度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
通常入院 | 169 | 132 | 189 | 138 | ||
緊急入院 | 190 | 187 | 224 | 200 | ||
神経内科 | 通常入院 | 54 | 96 | 59 | 39 | |
緊急入院 | 0 | 1 | 2 | 0 | ||
外来患者 | 脳血管内科 | 総数 | 4841 | 4798 | 5405 | 4640 |
初診 | 360 | 377 | 366 | 318 | ||
神経内科 | 総数 | 2262 | 3725 | 4164 | 3849 | |
初診 | 232 | 245 | 214 | 199 | ||
tPA症例数 | 18 | 9 | 13 | 8 | ||
脳血管内治療数 | 23 | 13 | 16 | 17 |
TOPICS
2020年4月より、脳血管内科と神経内科を統合し、脳神経内科と致しました。
診療内容は以前と変わらず、敷居が低く、スムーズな医療の連携をつづけて行きたいと考えております。
見学、研修希望の学生さん・研修医の皆さんへ
当科は、日本脳卒中学会教育施設、日本神経学会教育施設、日本認知症学会教育施設として認定されています。脳卒中に軸足を置きながら、髄膜炎・ギランバレー症候群・パーキンソン病・認知症疾患などの神経疾患の診療も経験を積むことが可能です。特に脳血管内治療については脳内科がイニシアチブを持って診療を行っているため、希望者には積極的に参加していただくことが可能です。また、脳外科とも垣根が低く関連分野に興味がある場合は随時診察が可能です。コメディカルも非常に協力的で大変仕事がしやすい病院です。神経内科・脳血管内科ともに最初はとっつきにくい印象をお持ちの方が多いとは思いますが、時間とともに面白さ、奥深さがわかってくると思います。少しでも興味のある方は、ぜひ見学にきてください。