血管内焼灼術(レーザー治療)・血管内塞栓術(グルー治療)
当科では下肢静脈瘤に対する最先端治療である、「血管内レーザー焼灼術および血管内塞栓術(グルー治療)」を施行しております。従来行われていた手術を要するストリッピング術という治療と比べると格段に低侵襲(体に負担が少ない)で、傷跡もほとんど残らず、平成23年に日本で保険適応となってから急速に普及しています。
下肢静脈瘤とは・・・
静脈には弁があり、通常これが正常に働いていると血液はスムーズに心臓に戻りますが、静脈の弁の働きが悪くなると静脈の逆流が生じ、これが原因で静脈が拡張し、モコモコした血管のコブを形成します。これが静脈瘤と呼ばれるものです。
原因
妊娠、出産、立ち仕事(教師、調理師、美容師、販売員など、1日10時間以上で重症化)、肥満、便秘など。また女性や高齢者に多いです。
病態
足の静脈の弁に負担がかかると静脈の逆流弁が壊れてしまい、静脈が逆流します。このため下流(足先の方)の静脈に圧がかかり、静脈は太く拡張、蛇行し、モコモコした静脈瘤ができあがってしまいます。
症状
足がつる、だるい、むくむ、疲れやすい、といった症状がでてきます。またひどくなると、足が痛くなったり、黒ずんできたりし、最悪の場合、潰瘍といって穴が開いてくるような場合もあります。
治療
下肢静脈瘤には伏在型、表在型、網目状、くもの巣状の4タイプの静脈瘤があり、血管内レーザー治療の適応となるのは伏在静脈型と表在型といった太いモコモコした静脈瘤です。 膝の近くまたはふくらはぎの辺りから、局所麻酔をして、直径約1mmの針を使って静脈をさし、そこからさらに細いワイヤー伝いに直径1mm位のカテーテル(くだ)を静脈に挿入し静脈を焼灼(焼き固める)させる(レーザー治療)、または静脈を瞬間接着剤で固めて(グルー治療)逆流をなくします。これにより静脈瘤に流れ込んでいた逆流した血流がなくなり、種々の症状の改善が見られます。
当センターでは下肢静脈瘤治療には血管内レーザー装置としてはH27年12月に保険認可を受けた本邦で最新型のエンドサームレーザー1470(ENDOTHERMELASERTM1470;LSO Medical, フランス製)を導入しレーザー治療を、また令和3年からは新たな治療としてのグルー治療を保険適用のメドトロニック社のVenaSealクロージャーシステムにより行っています。
レーザー治療は波長1470nmのレーザーを使用しているため、熱エネルギーが静脈の壁に深く浸透せず(痛みや出血が少なくなります)、またラジアルファイバーにより静脈壁を均等に焼灼するこが可能となり(効率的に熱がかかる)、治療時の疼痛や出血といった合併症がほとんどなく、効率的な治療が可能です。また新たな治療であるグルー治療では、レーザー治療では必ず必要であった静脈周囲の麻酔が必要ないため、さらに痛みが少なく治療が可能です。
どちらの治療も本当に傷が小さくほとんど目立ちません。また体への負担が少なく外来または一泊二日の入院で治療が可能です。
当科での治療は、カテーテル治療の専門家であるIVR*専門医が治療をするため、血管内治療のエキスパートによる治療を受けることができます。また放射線診断医でもあるため、治療前の画像による評価も自ら行っており、確実な診断が可能です。 症状のある方はIVR外来にご相談ください。
※IVRとはInterventional Radiologyの略語で、画像診断法を応用してカテーテルや針と言った非常に細い道具を使用して治療を行う医療のことで、「低侵襲治療」や「切らない手術」などと呼ばれます。体への負担が圧倒的に少ない治療法です。 詳細はこちら
治療をご希望の方は、かかりつけ医より地域連携室を通じて放射線科 IVR外来(火曜・木曜 午後2時~)予約をおとりください。