当センターでは80列CT装置の導入に伴い、平成28年6月から大腸CT検査を開始しました。
大腸CT検査は、内視鏡を大腸内に挿入せずに大腸を調べる新しい検査です。肛門から細い管を約10cm挿入し、ここから炭酸ガスを注入して大腸をふくらませてCT撮影をします。
得られたデータをコンピューター処理することによって内視鏡のような画像を作って大腸内を観察します。
内視鏡検査と比較して、前処置の負担(多量の下剤や洗腸剤をのむこと)が少なく、短い検査時間(約15分)で施行可能で、ガスの注入によりおなかの張った感じがしますが、大きな苦痛を伴うことなく施行可能です。他の大腸検査と比較して、重篤な合併症はごく稀です。
大腸CT検査は内視鏡検査と比較して、平坦な病変やごく小さい病変の検出はやや劣りますが、治療が必要とされる6mm以上の病変の検出率は、内視鏡検査と同等です。また、大腸CTでは、腸の両方向(口側と肛門側)から観察可能なため、内視鏡では見えにくいヒダの裏側もよくみえます。腸の狭窄や癒着などで内視鏡の通過が困難な場合も、さらに深部の情報を得ることができます。この検査では腹部全体をCT撮影しますので、同時に大腸以外の臓器についての情報を得ることができる利点があります。
ただし、大腸CTではポリープの切除や確定診断ができないため、大腸に病変が見つかった場合には精密検査として内視鏡検査が必要となります。
大腸癌は日本のがん死亡(2014年)の、女性では1位、男性で3位となっています。早期に発見すると完治しやすい癌ですが、早期では症状を自覚することがありません。検診で便潜血陽性となり、内視鏡による精密検査を勧められても、検査に対する負担感のため受診されない場合もあると思います。大腸CTは比較的負担が少ないため、今後大腸検査の一つの選択肢として、大きな役割を果たすと思われます。
大腸CT検査の具体的な手順
検査前の診察…検査に先立って、一度放射線科外来を受診して頂きます。検査についての説明と前処置薬の処方、検査食・前処置の仕方の説明をします。
前処置…検査前日は朝から検査食を食べて頂き、毎食ごとに少量の造影剤を飲んでいただきます。夜には下剤(マグコロール・ラキソベロン)を服用していただきます。
検査当日…午後から検査です。検査着に着替え、検査室に入ってから、腸の動きを止める薬(ブスコパン)を注射します(既往症等により使用しない場合もあります)。CTの検査台に横になり、医師による肛門部の診察の後、細い管を10cm程度挿入します。この管から炭酸ガスを注入し、大腸が十分に膨らんだらうつ伏せと仰向きでそれぞれCT撮影を行います。検査終了後は炭酸ガスが急速に吸収されますので、おなかの張りは短時間でおさまります。検査室に入ってから終了まで 10~15分程度です。
大腸CT検査ができない人
- 検査中、安静にできない方
- 妊娠中の方
- 前処置のできない方
- 腸閉塞が疑われる方
- 腎機能が極めて悪い方
- 大腸ポリープ切除直後(10日以内)・腸管の手術直後(3か月以内)の方
検査を希望される場合
かかりつけ医を通じて放射線科へお申し込みください。
当センターでは大腸CT検査は保険診療のみ施行しています。
検診は行っていませんのでご了承ください。