放射線治療の再開について >>


放射線治療部門ではX線4MV 、6MV、10MV、電子線による放射線治療が可能なリニアック装置(Varian社製 TrueBeam)による放射線治療を実施しています。院内の呼吸器腫瘍内科や婦人科、乳腺外科、泌尿器科、外科、消化器科、脳神経外科等と連携して幅広い疾患を治療しています。近隣の医療機関の患者様に対する放射線治療も実施しています。症例によっては呼吸管理システム、強度変調放射線治療(IMRT)、体表面画像誘導放射線治療(SGRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)を駆使した高精度な放射線治療を積極的に取り入れています。頭頚部、体幹部の定位放射線治療(SRT)にも対応しています。また、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対するRa223内用療法(ゾーフィゴ)等の放射線内用療法についても実施しています。

特殊な照射

画像誘導放射線治療(IGRT)

リニアックに診断と同じ放射線で撮影できる装置が搭載されています。この装置によりX線写真やコーンビームCTが撮影することができ、治療計画の画像と照合することで位置ずれを確認し、微調整をすることができます。このIGRTの技術により安全で高い位置精度で治療が可能となります。

SGRT(体表面画像誘導放射線治療)

照射位置の確認を行うシステムとしてX線画像を使用したIGRT(画像誘導放射線治療)に加えてSGRT(バリアン社INDENFY)を導入しました。SGRTでは、皮膚表面をスキャンし、三次元的に位置合わせや、照射中の体動等によるズレ量のチェックを行うことが可能です。X線を用いないため被ばくもありません。

呼吸管理システム

RGSC(Respiratory Gating for Scanners、呼吸同期システム)や、呼吸同期撮影4D CBCT(四次元コーンビームCT)、SGRTを使用することで、呼吸移動のある胸部、腹部等の治療においても精度よく治療を行うことができます。特に、体幹部定位照射や左乳房のDIBH(深吸気息止め法)を用いた照射に有効です。

定位照射

さな病変に対し細い放射線ビームを高精度に制御して照射する治療法です。 通常の放射線治療と比較し、周囲の正常組織にあたる線量を極力減少させることが可能です。 1回の治療で完結する定位手術的照射(stereotactic  radiosurgery:SRS)と複数回照射する定位放射線治療(stereotactic radiotherapy:SRT)があり、両者の総称が定位放射線照射 (stereotactic irradiation:STI) 法と呼ばれています。
また、頭部ではHyperArcを使用することで、複数個の腫瘍に対しても一度の治療で行うことが可能です。また、時間を要する多方向での照射を、ガントリー移動、寝台の回転移動等のオートメーション化によって、短時間での治療が可能となり患者さんの負担、体動による位置誤差が低減します。

強度変調放射線治療(IMRT)

従来の照射方法では、照射範囲には均一な線量でしか照射できません。強度変調放射線治療(IMRT)は専用のコンピュータを使用して腫瘍の形状に合わせた線量分布を作成することで、腫瘍には線量を集中しながら正常組織の線量を低くすることができます。そのため副作用を抑えながら腫瘍の根治性を高めることができます。