妊娠・授乳期の食生活のポイント
妊娠中は赤ちゃんを育むためにお赤さんの体の中に大きな変化があります。
順調な赤ちゃんの発育のために適切な栄養を摂取することが大切です。
1.バランスのよい食事
- 主食はごはん、パン、めん類を中心にエネルギーをしっかりと糖質をしっかりとると脂肪のとりすぎを防ぎます
- 主菜は肉、魚、豆腐、卵はからだづくりの基礎となり適量を赤ちゃんの発育に必要な栄養素であるたんぱく質を多く含んでいます
- 副菜は野菜、海藻、きのこ、果物は不足しがち、たっぷりとビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含んでいます
2.特に必要な栄養素
葉酸
葉酸は赤ちゃんの脳の発育や神経を作る働きがあります。胎児の脳は妊娠初期に完成するので妊娠前から妊娠3か月までの間充分な葉酸の摂取が望ましいとされています。葉酸は水溶性のビタミンで調理によって失われやすく体内で蓄えられない性質があるので毎日摂取する必要があります。しかしたくさん摂ればいいというものではありません。通常の食事から摂取して、不足するようならば栄養補助食品を補うようにして、1日1000㎍を超えないように注意してください。
カルシウム
赤ちゃんの骨や歯を作る大切な成分です。1日650mgを妊娠初期より積極的にとるようにしましょう。
鉄
妊娠中は血液量が増えることにより血液成分が薄まった状態になり、貧血状態が現れやすくなります。
赤ちゃんは必要な血液を作るためにお母さんから鉄をとりいれ、離乳までに必要な鉄を蓄えて生まれます。
妊娠初期、中期、後期によって必要量が異なります。
(付加量:妊娠初期2.5mg・妊娠中期・後期:15mg・授乳期2.5mg)
3.妊娠中に気をつけたい栄養素・食品
ビタミンA
脂溶性のビタミンで妊娠1か月前から妊娠3か月ごろまで動物性食品に含まれるビタミンAの過剰摂取は 赤ちゃんの先天性異常を引き起こすことが知られています。
妊娠初期は過剰摂取は控えましょう。1日300μgは超えないように注意してください。
野菜などの食物性食品に含まれるものは必要な量だけ吸収されるので過剰を心配しなくていいです。
魚の食べ方
魚はお腹の赤ちゃんの成長に必要な栄養素をたくさん含んでいます。特にDHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)は魚に含まれる脂肪酸で脳の神経を作るのに必要な栄養素です。
しかし一部の魚には、自然界に存在する水銀が食物連鎖によって取り込まれており注意が必要です。
マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂取で差し支えありません。バランスよく摂取しましょう
食中毒に注意
妊娠中は免疫機能が低下して食中毒に感染しやすくなり、赤ちゃんに影響を与えることがあります。
リステリア菌は食品を介して感染する食中毒菌で塩分に強く、冷蔵庫でも増殖します。
ナチュラルチーズ(加熱殺菌してないもの)、生ハム、スモークサーモンは避けましょう。
便秘について
妊娠初期は黄体ホルモンが腸管の動きを弱めているので便秘になりやすくなり、中期になると子宮が 大きくなり腸を圧迫するので便秘になりやすくなります。
たっぷりと水分をとって便通をよくするためヨーグルトの摂取など腸内の善玉菌を増やすことも大切です。
食物繊維の多い食品を増やすために白米を玄米や雑穀米にかえたり、白パンをライ麦パンにかえるのも おすすめです。
4.妊娠中の体重管理
妊娠中の総体重増加量が著しく少ない場合
低出生体重児分娩、切迫流産・切迫早産のリスクが高まる
妊娠中の総体重増加量が著しく多い場合
前期破水、妊娠高血圧症候群、巨大時分娩、分娩時の出血量過多、胎児心拍数異常のリスクが高まる
妊娠中の体重増加量は母乳の脂肪濃度にも影響があるといわれています。
母乳中の脂肪は乳児のエネルギーや必須脂肪酸の供給源として重要。
妊娠中の体重増加に対する極端な制限は好ましくありません。
望ましい体重は妊娠前の体型によって異なります
体格区分別 妊娠全期間を通しての推奨体重増加量
よくある質問
Q 赤ちゃんが食物アレルギーにならないように妊娠中から控えたほうがいい?
A 妊娠中の摂取量と赤ちゃんのアレルギー発症は明確な関係はないといわれています。
卵や牛乳は良質なたんぱく質なので適度にとるようにしましょう。
Q 母乳の出が良くなる食品や悪くなる食品はある?
A 極端な栄養不足になると出が悪くなることもありますが、お母さんの食事がそのまま母乳に影響することはないといわれています。ただし母乳中の脂肪酸の組成が母親の脂肪酸組成を反映するので、極端な脂肪制限はよくありません。 必須脂肪酸を適切に摂取するために、魚由来のDPAやDHAを摂取することをすすめます。
Q コーヒーや紅茶は飲んでもいい?
A 禁止する必要はありませんが、カフェインは赤ちゃんや母乳に移行するので1日1~2杯程度にしましょう。
ココア、チョコレート、栄養ドリンクにもカフェインが含まれているので注意しましょう。