重大な不適合とは

臨床研究法における「重大な不適合」とは

臨床研究の対象者の人権や安全性及び研究の進捗や結果の信頼性に影響を及ぼすものをいう。例えば、選択・除外基準や中止基準、併用禁止療法等の不遵守を指し、臨床研究の対象者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により研究計画書に従わなかったものについては含まない。なお、実施医療機関の管理者は、当該重大な不適合に関する対応の状況等を公表すること。
(「臨床研究法施行規則の施行等について(令和7年5月15日医政産情企発0515第1号 医政研発0515第6号)」より抜粋)

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針における「重大な不適合」とは

当該研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が損なわれるほどに著しくこの指針から逸脱しているもの。
ただし、下記に例示するような場合は、研究の内容にかかわらず、不適合の程度が重大であると考えられる。


  • 倫理審査委員会の審査又は研究機関の長の許可を受けずに研究を実施した場合
  • 必要なインフォームド・コンセントの手続を行わずに研究を実施した場合
  • 研究内容の信頼性を損なう研究結果のねつ造や改ざんが発覚した場合
  • 指針第6章第11の1⑶の「研究に関連する情報の漏えい等」の報告を受けた場合
    (「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」ガイダンスより抜粋)

研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣(文部科学省の所管する研究機関にあっては文部科学大臣及び厚生労働大臣。経済産業省の所管する研究機関にあっては厚生労働大臣及び経済産業大臣。)に報告し、公表しなければならない。

当院で発生した「重大な不適合」

当院で発生した「重大な不適合」について、以下のとおり公表いたします。

研究課題名 ハイフロー療法下における短時作用型β2刺激薬の吸入法別効果を検証するランダム化比較試験:COPDおよび喘息患者の気道可逆性に関する研究
不適合の内容 研究計画書に休薬規定のない通常治療で服用していた抗アレルギー薬およびロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を、気道可逆性試験前に被験者2名へ休薬するよう指示し、研究を実施した。(発生日:2025年5月5日、5月11日)
再発防止策 ・休薬薬剤については研究計画書を確認し、研究計画書の遵守を徹底する。
・本事例を共有し、同様の事象が起きないよう周知徹底を行う。