部門の特色

微生物検査室では、提出された検査材料を 『塗抹検査』 により感染症の原因となるような細菌がいないかなど、感染要素の有無を顕微鏡で確認・検証し、その後 『培養』 によって細菌を増殖させて、感染の疑われる病巣を再現、原因となる菌がいるか否かを確認する作業を行っています。さらに、原因菌を見つけた場合には 『同定検査』 で細菌の種類を特定し、『薬剤感受性検査』 で、その細菌に対して、有効な治療を行うために種々の薬剤による効果判定を実施しています。

培養が困難な微生物に対して、特異抗原や抗体などを測定する迅速検査を実施しています。

ICT(感染制御チーム)の一員として、院内における病原菌の検出状況などの把握、感染管理における資料作成・提供、院内ラウンドなど院内感染対策にも積極的に取り組んでいます。

主な業務と実績

検査材料

検査材料は体から採取できるもの全てが対象となります。喀痰・尿・便・穿刺液(胸水・腹水・髄液・関節液など)・血液・各種分泌物・膿などがあります。  

中でも喀痰、尿、便などは患者様ご自身で採取いただくことがあります。採取時には以下の注意をご参照ください。

  • 喀痰
    必要量 2~3mL程度    
    早朝起床時に水でうがいをして(この際、消毒剤は使用しないでください)から痰を採取してください。    
    (注意) 採取いただいた痰が唾液様である場合、再度採取をお願いする場合がありますのでご了承ください。
  • 尿
    必要量 5mL程度    
    尿道口付近の汚染を除去するため、初め少し放尿させてから採取してください(中間尿)。    
    ただし、反対に最初の尿が細菌検出に有用な場合もありますので、担当医の指示に従ってください。
  • 便    
    必要量 拇指頭大
    排便後、専用の容器に採取してください。

塗抹検査

塗抹検査はスライドグラスと呼ばれるガラス板に感染を起こしていると 考えられる部位の検査材料を直接塗りつけて、各種の染色法を施して 顕微鏡下で観察する検査であり、簡便性と迅速性に優れています。  

塗抹検査に施す染色法は、主としてグラム染色です。大部分の細菌は 構造上の違いにより、紫あるいは赤色に染め分けられます。細菌の有無、 色、形態などを観察し、『感染要素』 の把握に努め、また感染に反応して 増加する炎症性細胞などの『背景』を確認することで、感染が疑われる 部位の 『現場検証』 を行います。  

結核菌を含む、抗酸菌の塗抹検査には集菌法(遠心機により 高速回転させ得た沈渣をスライドグラスに塗布する方法)を採用し、 蛍光染色(ローダミン・オーラミン染色)を施して、検出感度を高めています。

塗抹検査塗抹検査

細菌培養

細菌感染が疑われる場合、検体に存在している細菌を発育させるために必要な栄養源を豊富に含んだ培地に接種して培養します。  

細菌が培地上で集落(コロニー)と呼ばれる塊を形成すると、肉眼で観察できるようになります。コロニーの形態のほか、各種の確認検査を行うことで細菌を同定し、さらに発育菌量などを総合的に考えることで病原性を判断します。  

結核菌を含む抗酸菌の培養には、液体培養を採用し、培養時間の短縮を図っています。

細菌培養細菌培養

薬剤感受性検査

塗抹検査所見や培養によって起炎菌と判断され、かつ培養により発育を認めた病原菌に対して、どのような抗菌薬・抗生物質が効くのかを知るために行う検査です。感染症の治療に有効と思われる適切な抗生物質を選択する際の参考となります。医師は “薬剤の体内動態”、“宿主の状態や免疫能”、“副作用など” を総合的に判断し、もっとも適切な薬剤を選択して治療に用います。

迅速検査

感染症領域における迅速診断は培養が困難な微生物に対して、病原体特異抗原や病原体に対する抗体などを測定することで短時間で微生物の存在を検出する検査方法があります。約30分程度で判定可能なものがあります。 当センターでは、以下の検査を実施しています。

  • インフルエンザウイルス
  • アデノウイルス
  • A群β溶血性連鎖球菌(化膿性扁桃腺炎などの起炎菌)
  • RSウイルス(細気管支炎などの原因ウイルス)
  • ロタウイルス(ウイルス性下痢症の原因ウイルス)
  • クロストリジウム ディフィシル毒素A/B
  • クラミジア抗原
  • マイコプラズマ抗原
  • 尿中肺炎球菌抗原
  • レジオネラ尿中抗原

感染管理

院内感染(Hospital-acquired infection、Nosocomial infection)とは、 病院や医療機関内で細菌やウイルスなどの病原体に感染することです。  

当センターでは院内感染を発生させないために、標準予防策を行っています。 これは感染症であるかないかに関わらず血液、体液、分泌物、排泄物、 損傷皮膚、粘膜を感染源として扱い、手袋、マスク、ガウン着用などで感染を 防止する方法です。  

細菌検査室では、院内感染予防対策委員会の実務担当としてMRSAを はじめとする薬剤耐性菌の動向を調査・提供することで、院内感染対策にも 取り組んでいます。

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部門の体制