不整脈このページを印刷する - 不整脈

受診を検討している患者様へ

「脈がゆっくりすぎる」「脈が飛ぶ」「脈が乱れている」「血圧計で脈拍が測れない」「脈が速い」・・・このように「不整脈」の症状は患者様により非常に多様です。
不整脈は「徐脈性不整脈」と「頻脈性不整脈」の2つに大きく分かれ、それぞれさらに細かい分類があります。
当センターでは、これら複雑な不整脈疾患に対し、多様な診断・治療手段をご提供させていただいています。もし上記のような症状でお困りの際にはぜひご相談ください。

徐脈性不整脈

徐脈性不整脈とは、脈が遅くなる不整脈のことで、めまい・失神・労作時の息切れ・心不全等の原因となります。基本的にこれらの症状がない場合は様子を見ることが多いですが、症状を伴う場合は永久留置型ペースメーカによる治療を行います。また、脈を遅くする作用のあるお薬や、他の心疾患が原因となっていることもあるため、詳しい問診・検査を行い慎重にペースメーカ治療を行うか判断いたします。

ペースメーカ治療

当センターでは1週間程度の入院で局所麻酔でペースメーカ手術を行っています。左右どちらかの鎖骨の下に小さな切開(5㎝程度)を行い、そこから鎖骨下静脈を介し心臓のなかに心臓を刺激するための電極を留置します。最近ではペースメーカ本体(電池)は非常に小型化しており、美容的な観点からも満足度の高い治療となっております。

頻脈性不整脈

頻脈性不整脈とは、脈が速くなる不整脈の総称で、徐脈性不整脈同様めまい・失神・息切れ等の原因となり、加えて強い動悸症状を伴うこともあります。頻脈性不整脈の一部には非常に危険なものも含まれており、最新の注意を払って治療方針を検討しております。薬物療法以外では、下記のような治療を行っております。

カテーテルアブレーション治療

当センターでは、発作性上室頻拍や心房細動に対するカテーテルアブレーション治療を行っております。近年技術開発がめざましく、安全性・有効性も向上しているため、お薬による治療と並んで頻脈性不整脈の重要な治療法の一つとなっています。カテーテルアブレーション治療は薬物療法と異なり、手技に伴う合併症の危険性はゼロではありませんが、疾患によっては不整脈を根治(2度と起こさなくさせる)することができる治療法です。

植込み型ループレコーダー

不整脈の発作回数は低くても、非常に重い症状を伴う患者様に有効な検査方法です。ペースメーカとことなりペーシングはできませんが、非常に短時間(10分程度)の手術で皮下に植込むことができ、数年にわたり不整脈発作の有無を監視することができます。記録された心電図から最適な治療方針を検討することができるようになります。
 
当センターでは上記のような不整脈治療を行っておりますが、不整脈の原因として冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や心筋疾患(心筋症)が隠れていることもあり、不整脈だけでなく心臓全体を俯瞰的に治療することが最も重要と考えております。

不整脈診療に関して(医療関係者の皆様へ)

これまで当センターでは徐脈性不整脈症例における永久ペースメーカ植込みや、頻脈性不整脈に対する薬物療法等の不整脈治療を行っておりましたが、2016年よりカテーテルアブレーション治療を開始し、より多様な不整脈疾患への対応が可能となっております。また2017年より植え込み型ループレコーダの植込みも開始し、原因不明の失神、塞栓源不明の脳梗塞症例での原因追及を積極的に行っております。
現在ますます複雑・高度化する不整脈治療ですが、関連するその他の心疾患(心不全・虚血性心疾患)と不整脈は密接に関連しており、不整脈のみならず心血管疾患のトータルマネジメントを行い、患者さんのQOL改善・健康寿命の増進に寄与できるよう心がけております。

治療について

頻脈性不整脈に対しては、薬物療法・カテーテルアブレーションを中心とした治療を行っております。現在、CARTO3(version 6)・EnSite NavXを使用、心房細動を始めとする複雑な不整脈治療にも対応できるような設備を整えております。
徐脈性不整脈に対しては、症状に応じ永久ペースメーカ植込みを行っております。また冠動脈疾患や心筋疾患の合併例も多く、基礎心疾患、背景となっている心疾患についても必要十分な検査・治療を行っております。

個々の不整脈の治療について

A.不整脈を疑う症状と検査

動悸症状や失神症状の他、不整脈に起因する心不全による全身倦怠感・労作時呼吸困難等、不整脈の症状は非常に多彩です。問診ですべてを診断することは困難ですが、血圧計でのエラー表示(脈不整により測定できないことが推定されます)、動悸症状の後の頻尿傾向(上室性不整脈により、利尿ホルモンが産生され頻尿となることがあります)、突然の頻脈(一般に洞性頻脈は徐々に心拍数が上昇しますが、発作性上室頻拍・発作性心房細動は一気に心拍数が上昇します)等の症状は比較的不整脈発作に特異的です。不整脈の症状が出現している時の心電図記録が診断上最も重要ですが、来院時には不整脈発作が停止してしまっていることも多く、ホルター心電図や植え込み型ループレコーダによる確定診断が必要な場合もあります。頻拍によると推定される症状を繰り返す場合には、カテーテルを使用した電気生理検査で誘発試験を行い、誘発されれば引き続いてカテーテルアブレーションを行うこともあります。

B.心房性期外収縮・心室性期外収縮

基本的に無症状であれば不整脈そのものは経過観察可能です。
連発数や1日の総数が多い場合、頻脈誘発性心筋症の原因となります。例えば心室性期外収縮は総心拍数の10-20%程度以上の頻度になると心機能低下のリスクがあるとされているため、心エコー図検査などで心機能の経過を追う必要があります。胸部レントゲンでの心胸郭比の増大、NT-proBNPの増加傾向などがみられれば、薬物での期外収縮数抑制や、アブレーション治療を考慮する必要があります。
また、心房性期外収縮が頻発している場合は、発作性心房細動が隠れている可能性もありますので、心エコー図検査における左房径計測や、ホルター心電図・携帯心電計での心房細動検出を試みる必要があります。また検脈の指導と脈不整を感知した際には受診するように勧めることも重要です。

C.発作性上室頻拍

いわゆるWPW症候群による房室回帰頻拍や、房室結節回帰性頻拍が含まれます。基礎心疾患のない患者にも多く見られ、身体的・精神的ストレス等に伴い発作頻度が増加します。突然心拍数が150-200程度に上昇、数十分~数時間で停止するというのが典型的です。基本的に脈拍としては整であることが多く、心房細動との鑑別点となります。多くの症例において、発作時の12誘導心電図波形からその機序を推定することが可能であります。もし発作中に患者さんが来院された場合は12誘導心電図を記録し、紹介時にご提示いただけましたら、成功率・危険性などについて踏み込んだ説明が可能となります(これは他の不整脈疾患でも同様にお願い申し上げます)。症状が強い場合や比較的若年の場合には根治性の高いカテーテルアブレーション治療をお勧めしております。

D.発作性・持続性心房細動

特に高齢の患者さんでは典型的な動悸発作として症状を自覚することはむしろ稀で、労作時の息切れ・運動耐用能の低下等、一見単なる加齢現象にみえる症状が心房細動の症状として出現することがしばしばあります。持続期間が長期化すると症状を感じづらくなるため、洞調律化後に初めて「体が軽くなりました」とおっしゃるかたも多いです。心房細動では症状によらずCHA2DS2-VASCスコア等に応じた抗凝固療法が必要となりますが、心房細動の頻度・持続時間が増加するにつれ心機能低下リスクも上昇します。一見心不全傾向のない、心拍数コントロールがされた患者さんでも定期的な心機能の精査は必要です。心機能低下傾向の患者さんでも、心房の傷害が進んでいない場合はカテーテルアブレーション等で洞調律化を図ることで心機能が回復することが報告されてきており、当センターでも該当症例には積極的に治療を行っております。

E.致死的不整脈 (心室頻拍・心室細動)

一般臨床では、何らかの心疾患(虚血性心疾患・心筋疾患)に随伴する場合が多いので、ホルター心電図等で非持続性心室頻拍等が見られた場合は基礎心疾患の精査が必要になります。心室細動・持続性心室頻拍が認められた場合には、基礎心疾患の治療とともに突然死予防のためのICD(植え込み型除細動器)が適応となります。

F.徐脈性不整脈

基本的に無症状の洞不全に対してはペースメーカ治療は行いません。しかし、失神等の脳虚血症状がなくとも、運動時の心拍応答不良による息切れや、徐脈性心不全の原因となっていることもありますので、ホルター心電図以外にも心エコー図検査やNT-proBNP等で心不全傾向がないかどうかの精査が必要です。一方、2:1ブロックもしくはMobitz II型以上の房室ブロックは失神発作や心不全がない場合でも完全房室ブロックに移行した際に心停止を来たすリスクがあり、無症候でも心臓電気生理検査(電極カテーテルを使用し、心内の伝導障害の程度を調べる検査です)を行いペースメーカ植込みについて検討する必要があります。
 
もし先生方の施設にて発作時心電図・ホルター心電図等の検査を施行済みであれば、ご紹介いただく際にはぜひ資料添付いただければ幸いです。ご紹介時には上述の検査を追加し、正確な診断・治療が行えるよう細心の注意を払って診療に臨んでおります。

入院治療について

永久ペースメーカ植込みは約1週間の入院にて行っております。手術自体は2時間程度で終了し、検査当日から歩行も可能ですが、感染や創部癒合の観察のため上記経過観察期間を設けております。
心房細動アブレーション治療は原則4泊5日、発作性上室頻拍等のアブレーション治療は3泊4日もしくは2泊3日の入院にて行っております。頻脈性不整脈の病態は難解ですが、可能な限り患者さんにも疾患・治療についてのご理解を頂くため、入院前・治療前日に時間をかけてインフォームドコンセントを行っております。アブレーション治療においては、3Dナビゲーションシステム(Ensite Navx®)などを用い、安全第一の治療を心がけております。